honda-aa.html HONDA スーパーカブ A-C50型 2016/06/14


1983年製造のカブを2台手に入れた。 1台は、倉庫で10年間寝ていた6Ⅴカブ。 もう1台は、セル付きの12Vカブで、3年ほどは倉庫に寝ていたらしい。
この2台のカブをど素人である私が、快適に乗れる状態に持って行くまでの悪戦苦闘を記録した。 主に、6Vカブについての記録となる。

画像は、1号機6Ⅴカブ


先に完成の画像を掲載しよう。 ワインレッドの方が1号機6Vカブ。 黄色は、2号機セル付き12Vカブ

エンジン蘇生

  固着したエンジンの蘇生・・・スパーク・圧縮・吸入の確認
【状態】
ヘッドの放熱フィンはアルミ特有の錆で真っ白。 シリンダーブロックは鋳物の錆で真っ赤。 キックペダルに全体重を加えるもビクともしない。 一般的にいう固着状態だろう。 手強い素材のようだ。

【作業】
カブの修理に手を出す順番としては、まずエンジンが動く事。 たぶん、ピストンの固着がキックを踏めない原因だろう。 エンジンを生き返らせる作業に取りかかる。

普通に考えるなら、エンジンの分解となるだろうが、素人の私には敷居が高すぎるので、分解せずに生き返らせる方法を模索する。

オイルゲージを抜いて見ると、黒いが、オイルは粘性も有り、量もしっかり入っている。 最低10年前のオイルだが、ミッションはオイルに守られている。 よって、ピストンがシリンダーに固着していると仮定する。

さて、、固着したピストンを開放する手段をどうするのか?
安直だが、プラグを外して、浸透性潤滑剤を大量に吹き込んだ。 この状態でしばらく放置してみることにする。




2日ほど放置して、キックを踏んでみるが動かない。
クランクケースカバーを外して、フライホイールを手で回して見るも回らない。 少し力を入れて、繰り返し左右に力を掛けてみたら回った。 ピストンの固着が開放されたようだ。

再びキックを踏んでみると、普通に踏めるようになった。・・・これでエンジンが動く条件をひとつ回復した。

もう一つの条件として、プラグがスパークするか。 日中は見えないので、暗くなってからキックすると、か弱い火花を確認できた。 とりあえ点火系統は正常とする。

さて、三つ目は、圧縮。 プラグを取り付けてキックを踏むが良く分からない。 キャブの吸気側に手を当ててキックを踏むと、空気を吸い込む感触が手に感じられた。頼りない負圧だが、これで良いのだろう。

最悪はエンジン分解と思い、ガスケットを手に入れておいた。 WEBであちこち探し、運よく見つけ出した。
2,528円・・・高いのか安いのか分からない。 バイクショップの壁に長らくぶら下がっていたものだろう。 良く日焼けしている。

腰上部の分解はこれでいつでもできる条件となった。 願わくば、このままにしておきたい。




 キャブレター


とりあえず分解掃除を行うためにエンジンから取り外す。

エアクリーナから切り離し、チョークケーブル、ガソリンホース、ジェットニードルを外し、インレットパイプに止めているボルト2本を緩めてキャブレターを取り外した。

※関係のネジはしっかり仕分けして管理すること。

部品の欠落や破損は無さそう。
さすがに汚れは30年を超える分堆積している。

KEIHIN製のキャブ。
上下に割ってみると、フロートチャンバーは乾燥して、そこに粉状の堆積がみられる。

部品破損も大きな腐食も無い。

ゴムのシールは(Oリングまたはガスケット)は交換とする。








ジェットの先端は何やらこびりついている。フロートも凄い汚れが付着している。
もともとは乾燥状態だったと思えるが、分解前に浸透性潤滑剤を吹いたので、その油分だろう。

見る限り、欠品も破損も無さそうだが、腐食がやや心配。

スクリューセットAは何回転で外れたかを記録しておくと、組戻し時に大方の位置に戻せる。

スクリューセットBは、締め込みエンドから1回転と1/8ほど戻す位置が標準らしい。

まあ、それはさておき、この汚れを綺麗にしなければ話しは先に進めない。




部品はすべて外して、洗浄する。 下の画像に「2番 ジェットニードルセット」が無いのは、外し忘れ。 ジェットニードルは、上から爪楊枝の柄の部分で押すと下へ抜ける。

キャブクリーナーに浸け置きして、堆積物や付着物を溶かす。 キャブクリーナーには有機溶剤やアンモニアが含まれているので、素手で作業しない方が良い。保護眼鏡も安全のために着用しましょう。

各ジェットには、小さな穴が開いている。 この穴が詰まっている場合は、電気コード等をバラシて、中の銅線を穴に通して掃除する。 ピアノ線等の硬い物を用いると傷をつける恐れがあるので注意。

本体等の部品は、洗い油に浸け置きし、歯ブラシ等でこすり洗浄する。 洗い油は、軽油・灯油などでもよい。ガソリンは引火性が強いので、使わない事。

Oリングは新しく購入し、交換した。通販で1セット千円程度(ガソリンストレーナー付き)。

フロートはプラスチック。 傷付けたり割らないように慎重に扱う。

フロートバルブ先端はゴム。 このゴムが劣化していると、または、このゴムの当たるキャブ本体のダイキャスト穴のエッジに傷が付いたり、腐食していると、フロートチャンバーにガソリンが満たされてもフロートバルブがガソリンの流れ込みを止められず、オーバーフローパイプからガソリンが少しずつ漏れる事になる。 ※バルブは新品に交換した。

まあ、古いタイプのカブは、ガソリン液面調整機能が無く、さらに振動でもフロートが動くので、多少オーバーフローパイプからガソリンが出て来る。

このカブも、多少漏れるので、エンジン停止中はガソリンコックを閉めている。 何が原因か明確で無い。




キャブの組戻し

注意点は、
・部品を間違わずに元の位置にしっかり組戻す事。
・Oリングの収まる場所に埃やゴミや傷を残さないこと。
・Oリングには薄くシリコングリスを塗ると良いらしい。

・オーバーフローパイプの差し込み口の根元と交差する位置に、フロートチャンバーのガソリンを抜くためのスクリューがねじ込んである。 これはしっかり締めておく。

・チョーク弁の作動軸が軽く動き、チョークレバーを引いたときにバネでバルブが閉じ、指で軽く押すと開くことを確認しておく。

・8番のスクリューセットBを軽く当たるまでねじ込み、1回転と1/8ほど戻す。

・6番のスクリューセットAを半分ほどの位置までねじ込んでおく。
 ※外したときの回転を覚えておき、その量ねじ込んでおく。

・キャブレターをエンジンに組み付け、チョークワイヤー、スロットルバルブを組み付ける。




これで、エンジンを動かせる条件はほぼ揃った。 残るはガソリンだが、ガソリンタンクが腐りまくっているので、ガソリンタンクの代用になる物を探す。

コーラの500mlペットボトルを使うことにした。 ペットボトルの蓋に、燃料ホースの径に対して0.5mmほど小さい穴をあけて、燃料パイプを捻り込む。
※精度良く真円に近く断面をなめらかに仕上げないとガソリンが漏れる。

ガソリンは、50mlほどと控えめの量を準備した。

くれぐれもガソリン漏れの無いよう十分に注意してやりましょう。

もちろん燃料ホースは新品。

※ペットボトルの真ん中当たりに針で穴をあけておきましょう。ガソリンが減っていくと負圧でガソリンが流れなくなります。

【エンジン始動の条件】

①エンジンの機構部分がスムーズに動く(たぶん△)

②プラグの火花が飛ぶ(弱い感じはするが△)

③ピストンの動きで吸入・圧縮が行われている(こんなもの△)

④キャブレターが機能する(掃除はした△)

⑤ガソリンが供給できる(代用品だがOK ◎)
 条件は揃った!
(ほぼ・・たぶん)
△~◎?

エンジン始動

・プラグを取り付け、プラグコードを繋ぐ(バッテリーは無くても可)
・ガソリンコックを開いてフロートチャンバーにガソリンを満たす。
・キャブからガソリンが漏れていないか確認する。
・メインキーをONにする。
・ライト類のSWはすべてOFFにする。(電圧低下の回避策)
・チョークレバーを引く。(様子を見ながら)
・スロットルを少し開ける。(僅かで良い)
・元気にキックレバーを踏む。
  ・・・・・
5回か6回目か、エンジンが黒煙を噴き上げて目覚めた。 たぶん、シリンダーを満たしていた浸透性潤滑剤が燃えたのだろう。

数秒の黒煙で驚いたが、それも静まり、エンジンは快調に回り続けた。音もザラつきが無く、イイ感じに回った。

とりあえず、エンジンは回った。

このまま、少し乗ってい見る。 ギアチェンジもしっかり出来る。エンジンのトルク感もマズマズ。